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時に1920年の英領インド帝国。
ニザーム藩王国アーディラーバード(*1)の森の中で、インド総督夫人キャサリン・バクストン率いる英国軍は、歌声の美しいゴーンド族(*2)の少女マッリを強制的に連れ去ってしまう。抵抗する母親はじめ村人を前に、インド総督スコット・バクストンは言い放つ…「英国製の銃弾1つにどれくらいの金がかかってると思ってるんだ。1ポンドの銃弾だぞ…こんな褐色人よりも価値が高い物だ!」
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デリー近郊にて、警察署に収容された独立運動家の釈放を求める群衆が署を囲み、今にもなだれ込もうとする中、署内へ石を投げ込んだ者を捕まえろと言う所長の命令に従って、インド人警官ラーマ(本名A・ラーマ・ラージュ)は無数のデモ隊の暴行を無視してただ1人で犯人の連行に成功する。その命をかけた偉業に対して、イギリス警察は彼の昇進を認めないまま…。
その後、ニザーム藩王国からの警告を受けたデリー警察署の協議にて、総督夫人からの「マッリを取り返そうとデリーに潜入したと思われる、ゴーンド族守護者を捕まえろ。逮捕に成功した者を、特別捜査官に昇進させよう」との宣言を受けて、ラーマは名乗りをあげる……彼のうちにひた隠す、ある野望を達成するために…。
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同じ頃、デリーに潜伏するゴーンドの"羊飼い(一族の守護者)"コムラム・ビームは、仲間たちとデリーの独立運動家たちと接触していた。
その仲間ラッチュがラーマの潜入捜査に引っかかって追跡されている途中、列車事故の火災に巻き込まれそうになった少年を目撃したビームは、同じく現場を目撃していたラームと共に阿吽の呼吸で少年を助け出す。これをきっかけに、お互いの素性も知らぬままに親しくなっていく2人は義兄弟のように支え合って行くようになった。しかし、ビームのマッリ救出のための総督邸襲撃計画が近づいて行く中、ラーマはラッチュの捕縛によってその事実を知ってしまい…!!
映画演出的にも凄まじい本作は、キャスト的にも色々と語りたくなる要素満載の映画。
ヒーローのヒーロー性をどこまでも輝かせるトンデモ悪役として登場する総督夫人キャサリン役を演じたアリソン・ドゥーディは、85年の「007 美しき獲物たち(A View to a Kill)」で映画デビューした元ボンドガールのアイルランド人女優。スコット総督役には「キング・アーサー(King Arthur)」や「ダレン・シャン(Cirque du Freak: The Vampire's Assistant)」「マイティ・ソー(Thor)」シリーズに出演しているイギリス人男優レイ・スティーヴンソン。本作の後、23年に撮影中に緊急搬送され物故されました…合掌(*10)。
ラーマの両親を演じる男優アジャイ・デーヴガンと女優シュリヤー・サラン(*11)なんか、15年のヒンディー語映画「ビジョン(Drishyam)」でも夫婦役やってた2人だし、アジャイは02年の「The Legend of Bhagat Singh(バガット・シンの伝説)」でデリーを中心に北インドで活動していた独立運動家バガット・シン(*12)を演じていた人でもある。そんな人が、ラーマに対して戦い方、抵抗運動の心得を伝授するなんて、なんとまあ、いろんな意図を感じてしまうことよ。さらに言えば、ラーマ編のヒロイン シータ役を演じるアーリア・バットはヒンディー語映画一族バット家出身の女優ながら、母親が英国生まれの印英ハーフで本人もイギリス国籍をもつ人。
テルグ語映画ながら、南北インド映画の垣根も、印英米の垣根も越えたキャスティングが敢行されているのも、ある種映画のコンセプトに沿った意図的なもの?(しなくてもいい深読み)
受賞歴
2022 Santosham Film Awards 台本賞(ブッラ・サイ・マーダヴ)・作詞賞(スッダラ・アショク・テージャー / Komuram Bheemudo)
2022 米 Atlanta Film Critics Circle 外国映画注目賞・トップ10作品賞(第5位)
2022 米 Boston Society of Film Critics オリジナル作曲賞(M・M・キーラヴァーニ )
2022 愛蘭 Dublin Film Critics Circle 第7位作品賞・第7位監督賞・第6位撮影賞(K・K・センティル・クマール)
2022 米 LAFCA (Los Angeles Film Critics Association) 音楽賞(M・M・キーラヴァーニ)・次席監督賞
2022 米 Hollywood Critics Association Midseason Film Awards 次席作品賞
2022 米 National Board of Review トップ10作品賞
2022 米 New York Film Critics Circle 監督賞
2022 米 NYFCO (New York Film Critics Online) トップ・フィルム・オブ・ジ・イヤー賞
2022 米 Saturn Awards 外国映画作品賞
2022 米 Southeastern Film Critics Association 外国語作品賞・トップ10映画賞(第6位)
2022 米 Utah Film Critics Association 非英語映画注目作品賞・次席監督賞
2022 米 Academy of Science Fiction, Fantasy & Horror Films 外国映画賞
2022 Film Club’s The Lost Weekend 作品賞・読者人気賞
2022 米 Philadelphia Fim Festival 人気創作賞
2022 米 Philadelphia Film Critics Circle Awards 外国語映画賞・撮影賞(KK・センティル・クマール)・音楽賞
2022 米 Sunset Film Circle Awards 外国映画賞・次席監督賞・次席編集賞(A・スリーカル・プラサード)
2022 米 Phoenix Critics Circle 外国語映画賞
2022 OAFFC(Online Association of Female Film Critics) 外国映画注目賞・スタント賞
2022 米 Indiana Film Journalists Association 外国語映画賞・スタント振付賞(ヴィッキー・アローラ & レイチョ・ヴァシレヴ & プレーム・ラクシト)
2022 米 North Texas Film Critics Association 外国語映画賞
2022 BFCC (Black Film Critics Circle Awards) 外国映画賞
2023 Zee Cine Awards インドの誇り賞
2023 Dada Saheb Phalke Film Festival フィルム・オブ・ジ・イヤー賞
2023 Nickelodeon Kids’ Choice Awards, India 南インド映画人気歌曲賞(Naatu Naatu)
2023 Iconic Gold Awards 驚異的業績賞
2023 Bollywood Life Awards 歌曲賞(Naatu Naatu)
2023 米 Academy Awards 音楽賞(M・M・キーラヴァーニ / Naatu Naatu)
2023 米 AWFJ (Alliance of Women Film Journalists) 非英語映画作品賞(別れる決心(Decision to Leave /??? ??)と同率)
2023 PIFCA (Pandora International Film Critics Awards) 歌曲コンポーズ賞・国際映画賞
2023 米 Austin Film Critics Association スタント・コーディネーター賞(ニック・ポーウェル)
2023 Celebrity Film Awards 外国語映画作品賞
2023 米/加 Critics’ Choice Movie Awards 歌曲賞(Naatu Naatu)・外国語映画作品賞
2023 米/加/豪/英 Dorian Awards (GALECA: The Society of LGBTQ Entertainment Critics) 非英語映画・オブ・ジ・イヤー賞
2023 米 GAFCA (Georgia Film Critics Association) 外国映画賞・次席オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)
2023 米 Golden Trailer Awards 外国映画予告編賞
2023 米 Hollywood Critics Association Awards アクション映画賞・外国映画賞・オリジナル音楽賞(Naatu Naatu / ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)・スタント賞・注目賞
2023 米 Hollywood Critics Association Creative Arts Awards オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)・スタント賞
2023 米 Houston Film Critics Society 外国映画注目作品賞・オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu)・スタント・コーディネーション・チーム賞
2023 米 OFCS (Online Film Critics Society Awards) スタント・コーディネーション賞・オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)・第6位作品賞
2023 米 Seattle FilmCritics Society アクション振付賞(ヴィッキー・アローラ & イヴァン・コスタディノヴ & ニック・ポーウェル & レイチョ・ヴァシレヴ & プレーム・ラクシト)
2023 米 DFCA (DiscussingFilm Critics Awards) オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)
2023 米 Stellite Awards 特別名誉賞
2023 米 Golden Globes オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)
2023 米 North Carolina Film Critics Association 外国語映画賞・スタント・コーディネーション賞・オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)
2023 米 Music City Film Critics’ Association Awards 外国映画賞・歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)
2023 米 Critics Association of Central Florida Awards 外国映画賞
2023 米 Hawaii Film Critics Society 外国語映画賞
2023 米 CIC (Chicago Indie Critics Awards) オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & チャンドラボース)・スタント賞(ニック・ポーウェル)・スタジオ映画賞(D・V・V・ダナイヤ)
2023 米 Denver Film Critics Society オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & ラフール・シプリグンジ & カーラ・バイラヴァ)・外国語映画賞
2023 米 Gold Derby Awards オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & チャンドラボース)
2023 米 Kansas City Film Critics Circle Awards 外国映画賞・オリジナル作曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ / 「NOPE/ノープ(Nope)」のマイケル・エイブルズと同率)
2023 米 Santa Barbara International Film Ferstival 歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ)
2023 米 OFTA (Online Film & Television Association) 外国語映画賞・オリジナル歌曲賞(Naatu Naatu / M・M・キーラヴァーニ & チャンドラボース)