バングラデシュの独立戦争直前を描くバングラデシュ映画「泥の鳥(Matir Moina / The Clay Bird)」、戦争当時に起こった戦闘をテーマにした「インパクト・クラッシュ (The Ghazi Attack)」、独立戦争後のベンガル難民問題を扱ったヒンディー語映画「ならず者たち(Gunday)」なんてのもあったけれど、その辺りとほぼ同じ時期に当の戦争とは遠く離れたパキスタン国内にて、戦争に翻弄されて自滅していく人々の悲劇があったことを明らかにする一本。
冒頭と最後に入る、物語を語って聞かせる海軍士官のシーンはやや説明的な導入とオチではあるけれど、語らずにはいられない"忘れられた悲劇"の重さが、尋常でないことを強調する。
監督&脚本を務めるメグナー・グルザールは、1973年マハラーシュトラ州ボンベイ(現ムンバイ)生まれ。父親はかの有名な詩人グルザール(*2)。母親は女優ラーキー(・マジュムダール)になる。
学生時代から詩を始めライターとして活動しつつ、社会学を修了してTVドラマ助監督として働き始める。95年にニューヨーク大学芸術学部ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツに短期留学し、帰国後に父グルザールの監督作「Hu Tu Tu」で助監督のほか脚本補助に参加。ドキュメンタリーやミュージックビデオの製作を経て、02年のヒンディー語+英語映画「Filhaal…(つかの間の…)」で監督&原案デビューする。本作は、娯楽映画監督作としては5本目の作品。