Salaam-e-Ishq: A Tribute To Love 2007年 216分 これは、同時期に起こった、無関係と思われる恋人たちの物語…。 ・ジョン・エイブラハム&ヴィディヤー・バーラン編 テレビ局に勤める編集担当のアシュトーシュ・ライナーとレポーターのテヘズィーブは、今日も幸せな朝を過ごしていた。 しかし、その昼。テヘズィーブは、特別列車の取材中に事故に巻き込まれてしまう!! 長い昏睡状態の彼女の回復を祈るアシュトーシュだったが、やっと意識を取り戻した彼女は、全ての記憶を失っていた…。 ・サルマーン・カーン&プリヤンカ・チョープラー編 有名なアイテムガール(ミュージカルシーンのゲスト出演専門の役者)のカミニは、悲劇女優に転身するのが夢。しかし、スキャンダルまみれの彼女には大物映画監督からのお呼びは一向にかからない。 そこで彼女は、マネージャーを巻き込んで「私はずっと、幼なじみの恋人ラーフルを思っているのです!」と架空の恋物語を発表。自分が純愛派であると世間に宣伝することで、悲劇女優のクチをたぐり寄せようとしたのだが…。 仕事でロンドンに旅立つ日、空港で待ち受けるマスコミの前に「君のラーフルだよ!」と突然現れた男が出てきたからビックリ仰天! ・アイーシャ・タキア&アクシェイ・カンナ編 美人のジヤー・バクシーとの結婚が決まったシヴェン・ドゥンガープルだったが、友達の話から結婚恐怖症に取り憑かれてしまう。 友達をこき使って、あの手この手で結婚破談に持って行こうとするもうまく行かず、そのまま結婚式当日を迎えることに。 しかし、その式中にジヤーは、シヴェンの本心を語った映像を見てしまい、本当に結婚は中止になってしまった! そうなると、逆にジヤーへの思いに取り憑かれるシヴェンだったが、ジヤーはアメリカからやって来たNRI(在外インド人)ローヒト・チャッダーとの婚約を進めていると言う…。 ・ゴーヴィンダー&シャノン・エスラ編 デリーでタクシー運転手をしているラージュは、空港の客待ち中に、いつか運命の人と巡り会えるよう神様に祈り続ける毎日。 そんなある日、さわやかな風と花の舞、幻惑的な音楽にのせてその人が現れた! …しかし、その運命の人 白人女性のステファニーはヒンディー語を理解できず、英語ができないラージュとのやりとりはチンプンカンプン。大喧嘩になってしまった所に、英語のできる子供を連れてきて通訳してもらうと、彼女は結婚の約束をしたローヒト・チャッダーを探しにインドに来たという。 ラージュは、一目惚れした彼女のためにローヒト探しを手伝うことにするが…。 ・アニル・カプール&ジュヒ・チャウラー編 ヴィナイ・マロートラはロンドン在住のイベント業者。妻のスィーマーとの間も良好で、何不自由ない幸福な生活を送っていたが、ヴィナイは最近、自分の人生にむなしさを感じ始めていた。 そんなある日、ヴィナイは通勤電車の中でダンサーのアンジャリに魅了されてしまう。彼女が置き忘れて行った日記を届けることを口実に、彼女のダンス教室(客は男ばかりだった…)へ行き、彼女に恋愛感情を抱くことに。ついにスィーマーがこのことに気づいてしまって…。 ・イーシャ・コッピカル&ソハイル・カーン編 ラームダヤールとプールワティーは新婚夫婦。 しかし、2人の生活は初夜からトラブル続き。家は火事になるわ、子供たちに邪魔されるわ、車の中でイチャつけばサイドブレーキが外れて崖の下へ真っ逆さま…。 挿入歌 Salaam E Ishq (ようこそ、甘い愛よ!) *やっぱりこれも、「家族の四季(K3G)」の"シャバ・シャバ"と同じく、どんな環境や育ちでも(インド人ならば)1つの旋律で、同じように踊れる…と言うインド的一体感を現したシーン? ヒンディー語の題を訳すと「愛の挨拶」なのだそうな。「愛よ、こんにちは!」…みたいな感じでしょか(YouはShock!!)。 6組のカップルの恋愛ドラマが並列進行するオムニバス・ラブロマンス映画。 ニキル・アドヴァーニ監督作というのは、どこか欧米圏…と言うか、非インドな映画を彷彿とさせる(*1)。 「たとえ明日が来なくとも(KHNH)」はモロにハリウッド的なスタイルでボリウッドしてたし、「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」は中国映画…もしくは香港映画がアメリカで中国映画を撮りました的なノリ。 その間に位置するこの「Salaam-e-Ishq」は、やっぱりグランドホテル的なスタイリッシュな群像劇。アメリカ…と言うより、ヨーロッパ的な洗練さに近いかも。 その意味では、評価がそれぞれ各自で大きく分かれる…と言う話も納得。「Salaam-e-Ishq」はインドではコケたらしいけど、個人的には「KHNH」より冒険も多くて、ずっと面白い映画だと思う(断言!)。 グランドホテル形式の映画のあらすじって、ものすごーく書きにくいんだけど…中心に来ているのはプリヤンカ&サルマン演じるカミニとラーフルの物語。そして、ゴーヴィンダー&シャノン・エスラ演じるタクシー運ちゃんラージュとステファニーの話も比重的には同格? かたや華やかな芸能界の、かたやしがない一庶民たちの2つの話が印象に強い。 もっとも、グランドホテルに必須の「同じ場所で交錯して起こる、別々の人生ドラマ」の「同じ場所」の比重は軽く、デリー、ムンバイ、ロンドンの3都市にまたがって話が進行し、ラスト近くにバラバラだったお話が、1つの舞台に集約されて行く(*2)。 それぞれの物語は、どれも甘々直球ラブロマンスながら、全編に流れるユーモアセンスと、怒濤のごとくラストへ向かう映画的構成は見事! …だけど、それまでにそれぞれの登場人物の顔と名前を一致させないと見ていて苦しいかな…とは思う。 とりあえず、なにはなくともゴーヴィンダーとアイーシャ・タキア万歳。 そして、プリヤンカに乾杯! 挿入歌 Tenu Leke ([君が望むなら]いつでも戻ってこよう) *結論。ロンドンに行くと白馬の王子に会える!
2010.7.7. |
*1 アメリカで活躍するミーラー・ナーイル映画ほどではないけれど。 *2 …まったく関係ない話もあるけど。 |