サラール (Salaar: Part 1 − Ceasefire) 2023年 175分
主演 プラバース & プリトヴィラージ・スクマラン & シュルティ・ハーサン
監督/脚本/原案 プラシャント・ニール
"俺の名を呼べば、お前のために、俺は戦う。"
遠い世界の果て、復讐と敵意の只中……固い友情があった。
時に1985年。
力のみが法の隠された都市国家カンサールにて、少年デーヴァ(本名デーヴァラタ・ライサール。通称"狂気")と少年ヴァルダ(・ラージャ・マンナール)は兄弟同然の親友として育つ。しかしある時、この都市国家を支配するヴァルダの父親の命令によって、デーヴァの家が襲撃されてしまうが、からくも、領地の交換を持ちかけてデーヴァとその母親をヴァルダが助ける事となる。彼はデーヴァに語る…「俺がついてる。心配するな。だが…お前はここに居てはいけない」
母と共に街を離れる事になったデーヴァは、別れ際にヴァルダに語るのだった…「お前のために命を捨て、お前のために命を奪う。お前に誓う。俺を呼べばいつでも…ここへ戻る」
遠い世界の果て、固い友情の絆が……断ち切られた。
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時は過ぎ、2017年。
ニューヨーク在住のインド人実業家クリシュナカントの娘アーディヤーが、父に内緒で亡き母親の散骨のためにインドに戻ってきたとの一報が、インド裏社会に激震を走らせる。
7年前の報復ができると裏社会勢力が一斉に動き出す中、クリシュナカントから娘の安全を懇願されたビラルは、彼の勧めるままある人物に救援要請の報を入れる…「約束を果たす時だ…君の元へある人物を送る。助けてくれ…」
プロモ映像 Vinaraa (聴いたか)
タイトルは、主人公のあだ名で「将軍」の意。劇中にて、ペルシャの伝説を引用して帝王の最も信頼する部下を指す単語として登場し、主人公デーヴァにつけられた尊称となる。
原題は「サラール:第1部 停戦」。
記録的大ヒット・カンナダ語(*1)映画「KGF」2部作の監督プラシャント・ニールと、やはり記録的大ヒット・テルグ語(*2)映画「バーフバリ(Baahubali)」2部作で主役を務めたプラバースがタッグを組んだ、一大ノワールアクション大作テルグ語映画2部作の第1作。2023年度公開のテルグ語映画のなかで、最高収益を上げた映画である。
インドと同日公開で、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フィンランド、フランス、英国、クウェート、ノルウェーでも公開されたよう。
日本では、2024年に一般公開。
世界観と語り口は思い切り「KGF」のそれ。ヒロインが過去の因縁から裏社会に狙われる冒頭部のチェイスシーンは、プラシャント・ニール監督デビュー作「Ugramm(烈火のごとく)」からの引き写しで、自身の成功作が目指した超絶娯楽作風を徹底的に追い求めるような作りの映画。「やっぱ、マサーラーアクションは任侠ものが一番人気になるんかいのう」と、その超絶マフィアアクションの連続の連続の連続に完全に頭からネジが2・3本持ってかれる迫力が強過ぎて、逆に虚無感的な冷静さまで到達してしまいますことよ。
セピア色調の少年時代の因縁から、殺伐とした裏社会の中で生き残る主人公デーヴァの静かな怒りを表す影の広がる明暗の強い現代への移行も計算された演出ってやつで、鮮やかな色彩に囲まれるヒロイン アーディヤーとの住む世界の違いを意識させずにはいられない。
そんな中で、とにかく物語は徹底して理不尽な世界へのヘイトを貯めに貯めて、最終的に爆発させるカタルシスを何度となく繰り返していく常習性の高い「スカッと系」を煮詰めたマサーラー展開の連続。よくもまあ「KGF」と同じ演出戦略を持って、まだまだ未知の超絶見せ場を次々と見せていきますことよ。1つのジャンルを突きつけて「客が最大限喜ぶ映画」を作り出す監督以下スタッフたちの「マサーラーって言うからには、ここまで内容を詰めていかんければ!」って職人根性がトンデモね! 多腕で刀を振り回す神の如き姿の戦士像の、ベタなくせになんとカッコええ絵面でありましょうか!
まあ、個人的にはあまりにも殺伐任侠ものに振っているので「もっとデーヴァとヴァルダの関係性の苦悩を見たかったなあ…」って感じでもあるが、方向性が変わってしまう願望か。続編の展開が「KGF」以上の物語インフレを起こす事に超期待。ヒロインも観察者止まりだったし(*3)、なんか続編でヒロイン以上に活躍しそうな雰囲気のカンサールの強き元首代理ラーダー・ラーマも挨拶程度の活躍(*4)だったのも、何かの伏線のようにも見えてくるるるるるる…。
「Ugramm」を見て、自らニール監督に次作の監督を依頼したと言う(*5)プラバースの「立ってるだけで絵になる存在感」は「バーフバリ」とはまた方向性が違いながらも全てが絵になるカッコよさ。これだけでも大画面で堪能する価値大ありのスター俳優かくあれかしって存在感が麗しい。マラヤーラム語(*6)映画界のスター プリトヴィラージ・スクマランのインテリ系演技も吹っ飛ぶ映像美なんだから恐ろしや。ヴァルダとの因縁自体も、どうかすると北斗の拳風にも見えてくる気もするので、続編へどうこれが生かされて行くのかワクワクではありますが、とりあえず暗いイメージとハッタリの強い無数のギャング達の顔面圧が強過ぎてお話のどんでん返しも霞んでしまいそうな画力は、マサーラー映画のとっつきにくさでもあり、勧めづらさでもありつつ……映画の迫力そのものの体現であり、映画表現の自由さを見せつけてくる発想力の勝利ですわ。殺伐とした3部族社会の古代的であり中世的であり、現代的でもあるヒーロー像のカタルシスこそが勝利のカギですわー!!
プロモ映像 Sound of Salaar
受賞歴
2024 SIIMA (South Indian International Movie Awards) 撮影賞(バーヴァン・ゴウダ)
2024 DPIFF (Dadasaheb Phalke Internatinal Film Festival) フィルム・オブ・ジ・イヤー賞
「サラール」を一言で斬る!
・最悪の都市国家カンサールでは、剣や拳は銃よりもバイクよりも強し(斬◯剣か!!)
2025.1.26.
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