ボス その男シヴァージ (Sivaji) 2007年 185分 その日、多くの人が集まる抗議デモの最中、チュンナイ中央刑務所に収監された男がいた。 隣室の囚人は、新しく入って来た男シヴァージに尋ねる。「旦那、殺しかい? それとも詐欺?」「いや……国を改革したのさ」「そりゃ、大犯罪だ!」 ************* 米国帰りの大資産家シヴァージ・アルムガムは、タミルナードゥ州チュンナイに凱旋するや自分の資産を使った貧困層向けの無料病院と入学費無料の大学の設立を確約した。 この夢を応援するシヴァージの叔父は、地元通の助手として手助けしつつ彼の結婚相手を見つけようと世話を焼き、ついにシヴァージは、楽器店で働く古風な美女タミルセルヴィーに一目惚れ!! しかし、当の彼女は彼の強引なプロポーズに思い切りドン引きする…。 一方、チュンナイの医療業界を独占運営する悪徳経営者アディセーシャンは、シヴァージの福祉活動が気に入らず、すぐに裏から彼の活動を妨害し始める。 役所ぐるみの妨害にシヴァージは、嫌々ながら地元の流儀にあわせて莫大な賄賂で計画を始動させる…が、そのために突然訴訟され全財産を没収されてしまう!! 裁判所の出口で黒幕アディセーシャンは笑みを浮かべながらシヴァージに語りかける。「しょうがないさ。君のせいじゃない。気を取り直して厨房の料理人でもバスの運転手でもして生きていけばいい。ああ、でも未経験者は難しいだろうな…そうだ、物乞いをしていけばいいじゃないか」 アディセーシャンが差し出す1ルピー硬貨を握るしかないシヴァージはこの時、心の中で彼ら腐敗した既得権益者たちへの復讐を誓う………そう、これが後にタミル財界を裏から支配するボス シヴァージの誕生となるのだ!!!! 挿入歌 Balleilakka 2012年、したまちコメディ映画祭にてシュリヤー・サラン来日の上でイベント上映され、「ロボット」の大ヒットの波にも乗って、ついに同年12月に日本で一般公開されることになったタミル映画の傑作! 公開に先立って、マサラスタイルのビール飲み放題特別試写会が敢行され、日本の映画館でマサラシステム上映(*1)での公開回も用意される騒ぎに!! 大阪では「ラジニ誕生祭121212」のタイトルで12月12日にイベント上映もされた。 いやぁー濃い。まさに濃いいタミル映画ド直球娯楽大作映画! シャンカル監督自身の次回作「ロボット」に抜かれるまでインド国内最高額の製作予算・タミル映画界最大ヒットを記録した超ド派手ポリティカルアクション!! タミル映画界の巨匠シャンカル監督とタミル映画界のスーパースター ラジニカーントがタッグを組んだ、超ド派手&ものごっつ濃いいお祭り映画が最高すぎまする! お話自体は、南インド映画で時々見るパターンの汚職と不正によって全てを失った男の復讐劇な訳だけど、そこに大量のコント、ロマンス、サスペンス、アクション、社会風刺、ド派手ミュージカルシーンが配される一級娯楽作。本筋から脱線しまくるシーンも結構長くそっちが本筋なのか? …と思えちゃうほどだけど、その脱線シーンがメチャ面白いわ、本筋シーンもそれに負けないくらい超ド派手だわと、ほんとにお祭り大爆発な映画。…のために、ある程度この休憩なしドタバタ豪速球のノリに始めからついて来れる人でないと大変かもしれないなぁ…とは思う(*2)。 全財産を失った男が、たった1ルピー硬貨だけで巨大資産を操る社会悪と対決し、自身も手段を選ばないダーティーヒーローへと変貌を遂げていく所はまさに痛快! 映画ヒーローってのはこうでなくっちゃ!! リアルなストーリーかどうかなんて気にならないくらいのぶっ飛んだ演出の数々を楽しめるけども、その中に様々なタミルネタが仕込まれてくるのも見物。 …ま、タミル映画に詳しくないので、あとでパンフ読んで「へぇー。トップスターのカマル・ハサンの名前とかラジニが元バスの運転手だった…くらいはわかったけど、あとは知らなんだぁ。なるほどぅー」とため息と共に色々理解する。嗚呼、日々これ勉強なり。ネタ元になってる過去のタミル映画も色々みーたーいーぞー!! 主演を務めるラジニ&シュリヤーも、実際に福祉活動に熱心で、タミル社会ヘの還元のしかたもまたスーパースターとしての影響力につながってると言うし、まさにタミル人によるタミル愛に満ち満ちた、タミル人こそが痛快に楽しみハシャぐべき地元愛にあふれる映画ですねぇ。 挿入歌 Athiradee *超派手派手かつその流れでこのシーンに行くか! と言うインパクト大のミュージカルシーン!!
受賞歴
2013.1.4. |
*1 クラッカー、ダンスや拍手ありの大騒ぎ上映。 *2 私が見た回では、前列のカップルが中盤以降飽きて来ていた…。 |