タイトルは、ヒンディー語*1)で「祖国」。副題は「We, the People」。
ヒンディー語映画の名作「ラガーン(Lagaan)」のアシュトーシュ監督が、その次の作品としてキング・オブ・ボリウッドのシャールクを迎えて製作した、社会派愛国映画(*2)。
お話は、実在のNRI アラヴィンダー・ピララマッリとラヴィ・クチマンチたちが興したAID(Association for India's Development=インド開発協会)の活動から着想を得たとか。
映画公開後、批評家たちから2003年のカンナダ語映画「Chigurida Kanasu」とその原作に内容が酷似していると指摘されたそうだけど、原案担当のM・G・サティヤはこれを否定したと言う。
インド人らしくない米国育ちのエリートNRIの目を通して浮かび上がる、現代インドの悲惨な社会問題と、それでもそこで生きていく人たちの現状と解決の糸口を描く本作は、インド人自身が様々な国内問題に対し、やはりしっかりと自覚的であることを分からせてくれる。
と同時に、モーハンに反発する村人の言でもないけれど、外国人が「こうすれば解決するのに」「ああすればなにも問題なのに」と簡単に言う解決策は、実際には複雑な利害が関与する現実問題にそぐわない点を無視している事が多く、より事態が混乱するだろう事も示唆し「結局は、自分たちインド人自身が動かなければなにも解決しない」と言う結論へと到達していく。
こうしたテーマや、生き生きと描かれるチャランプル村の描写は、アシュトーシュ監督の前作「ラガーン」の製作コンセプトを継承した形になっていて、「ラガーン」で主役を演じ製作としてもたずさわったアーミル・カーンが作った「黄色に塗りつぶせ(Rang De Basanti 06年作)」「地上の星たち(Taare Zameen Par 07年作)」で描くテーマとも共鳴する感じ。
まあでも、なんと言うか語り口がテーマありきのせいか、なんとも説教くさい映画になってしまっている。OPのタイトルの出し方とか、後半のダシャヘラー祭のラームラーリー(ラーマーヤナ劇)、駅の水売り少年、「Yeh Jo Des Hai Tera(この貴方の国こそ)」シーンのダイナミズムとかは見所いっぱいなのに、全体としてなんかもっさい印象を受けてしまって…ねぇ。小説とかだったら面白く読めただろうけど、映画だとなぁ…。
受賞歴
2004 National Film Awards 男性プレイバックシンガー賞(ウディット・ナラーヤン/Yeh Tara Woh Tara)・撮影賞(マヘーシュ・アーネイ)
2005 Filmfare Awards 主演男優賞・BGM賞(A・R・ラフマーン)
2005 IIFAインド国際映画批評家協会賞 作詞賞(ジャベード・アクタル/Pal Pal Hai Bhari)
2005 Golden Indian Film Awards GIFA主演男優賞・新人女優賞(ガーヤトリー・ジョーシー)
2005 Zee Cine Awards 女優デビュー賞(ガーヤトリー・ジョーシー)
2005 Star Screen Awards 新人賞(ガーヤトリー・ジョーシー)
2005 Stardust Awards 監督賞
2005 Bollywood Movie Awards 女優デビュー賞(ガーヤトリー・ジョーシー)
Film Cafe´ Awards 主演男優賞
Rupa Cinegoers Awards 批評家選出主演男優賞