Thoda Pyaar Thoda Magic 2008年 137分 実業家ランヴィール・タルワールは孤独な男。幼い頃から、次々に愛する相手を失っていった彼は笑わない。 ある日、仕事に向かう彼はよそ見運転から交通事故を起こし、ぶつかった車に乗っていた夫婦を殺してしまう…。 若き実業家の殺人事件の裁判という事で、世間の注目が集まる中、裁判長は宣告する。「条件付き執行猶予。殺されたワーリヤー夫婦の4人の子供を引き取って養う事。もし、育児放棄や虐待が起こった時は20年以上の懲役とする」 こうして、ワーリヤー家の長男ヴァシシュト、長女アディティ、次男イクバール、次女アヴァンティカーの4兄妹がランヴィールの家にやって来る。ぎこちなく子供を迎えるランヴィールと恋人のマライカーだったが、兄妹たちは両親を殺した彼に馴染むつもりはさらさらなく、次々と問題を起こしては彼を困らせて行く。 こんな疑似家族がうまく行くわけもなく、すぐ全員が空を仰いで神様の名を呼び始める。…それを天界から聞きつけた神様は、いつも笑顔の天使ギーターを使わして一家を幸せにしようと決定。 神様に指名されたギーターは、喜んでランヴィールの家へと降りて行く…。 挿入歌 Beete Kal Se (素晴らしき過去は、多くを教えてくれる) *ちゃんと勉強しましょうの、みんなのうた。 タイトルの意味は「少しの愛、少しの魔法」。ディズニー・ミュージカルの名作「メリー・ポピンズ」の翻案作品だったりする。チムチムニ〜。 基本的には、ディズニーを意識した風な子供向け映画。疑似家族による家族愛がテーマ…って言うと、ボリウッドではよくある話。 要所要所に「勉強をしましょう」「家族の愛を感じましょう」と言う教訓が出て来たりする。それとは別に、親側もターゲットにするためか、後半はラニとサイフのぎこちないロマンスが主題になって来る。その辺は、他の有象無象の映画とそう変わらないけど、「メリー・ポピンズ」っぽさを出そうとして、妙に教条的になる部分は児童文学的視点のこなれてなさをみてしまう…なぁ。 冒頭の交通事故がかなりショッキングな展開だけど、これは舞台設定をととえるため…だったのか? ボリウッドによくある、色んな要素を詰め込みすぎて放ったらかしになってる点が多いような。 「メリー・ポピンズ」から着想されたにしては、子供たちのひねくれさが足りない…のはインドの子供たちはそんなにひねてない事が理想だから? その辺、児童文学好きとしてはインドにおける児童文学が、どういう位置づけでどれくらい流布してるのか気になるぞぉぉぉ。 西洋的な絶対神と天使たちが、それでも歌に踊りを披露するインド的なのーてんきさが微笑ましいけども、ラニ扮する地上に降りた天使ギーターはどっちかというとアラビアンな雰囲気。ジニーって呼べば飛んできそうな…(*1)。 そういや、アメリカ人の扱いがえらい酷かったけど、アメリカで失踪したギーターを探す一家が、教会に行って「インドの神様じゃないのにお願いして、聞いてもらえるかな?」「どんな神様だってお願いは聞いてくれる神様がオレたちの神様さ」…ってな展開になるのは、さすがインドって感じ。 ギーターがやらかす、無責任な魔法によるドタバタ劇は見ていて楽しいし、特殊効果はかなり綺麗な仕上がり。博物館のCGがゲームっぽいのはご愛嬌…だけど、ラニや子役が予想外にきっちり演技してくれるので見ていて安心(ま、子役の"いかにも子役です"って演技が往年のハリウッドっぽくてうーん…だけど)。 挿入歌 Bulbula (泡) *西洋風の神様と天使像でも、インドにかかればみんな踊ってHAPPY!!
2010.4.13. |
*1 って昔のアメリカドラマがあった事だけは知ってる私。見た事はないよ! |