Chase 2010年 103分 9月12日。ムンバイ郊外にて産業大臣ヴィシュワジート・ラーナーが殺害された。 現場にいたランヴィール・ティヤーギー警視正は、その犯人と目される男…フリーカメラマンのソハイル・ハンサーリーの追跡を命じ、警察は激しい追跡劇の末に交通事故を起こして植物状態になったソハイルを連行する。事件の詳細を調査するために、担当警部のシッダールタ・シャルマーは、医師の勧めに従いソハイルをサターラー県パンチガニーの脳科学研究所へと秘密裏に護送。彼の病状が演技ではないかとの疑いから、研究所職員ヌープル・プラダーンに彼の診断を依頼する…。 その頃、TVレポーターでソハイルの恋人スルビー・パテールは、結婚を控えたソハイルが失踪した上、警察が彼をテロリストとして捜査している事に驚き、独自にソハイルを探し始めるのだが…。 ED Get Set Go 日本公開された「チェイス!(原題 Dhoom 3)」とは似ても似つかない、ヒンディー語(*1)低予算アクション映画。企画段階のタイトルは「Begunaah」。 「チェイス!」を見た後に、インド本国でも「Chase」ってタイトルの映画があったのか…って興味本位で見た映画ですが、そうでもなけりゃ一生見る機会もなかっただろう映画ですわなあ…。もちろん、「チェイス!」とはなんも関係ない映画ですゼ。混同しないようにw 主役ソハイル役のアヌージ(・サクセーナ)は、1967年デリー生まれのTVドラマ俳優兼モデル兼プロデューサー兼実業家。父親が有名な製薬会社(?)の創設者で、自身もその子会社(?)の常務に就任してるそうな。自身で映画プロダクション「Maverick Productions」を立ち上げたり、レストランやスキンケア化粧品ブランドの経営もしていると言う。01〜04年のヒンディー語TVドラマ「Kkusum」で役者デビューを果たした後、06年のTVドラマ「Kulvaddhu」でプロデューサーデビュー。07年の「Red: The Dark Side」で映画デビューした。角度によってはなんとなく"冴えないアビシェーク"って感じ。 ヒロイン ヌープル役のユディータ・ゴースワーニは、1984年ウッタラーカンド州デヘラードゥーン生まれのモデル兼女優。父親はガルワーリー系(*2)出身で、母親はネパール系(*3)。モデル業やミュージックビデオ出演を経て、03年のジョン・エイブラハム主演作「Paap(罪)」で映画&主演デビュー。本作が11作目の映画出演作となる。13年に映画監督のモーヒト・スリーと結婚。本作では、なんとなく"げっそりしたプリヤンカ"って感じ。 セカンドヒロインのスルビー役は、南アフリカはケープタウン出身の女優兼モデル兼プロデューサー、タリーナ・パテール。医者の父親と教員の母親の元に生まれ、薬学を学ぶためにインド留学した後、南アフリカの大学で心理学を修了し最優秀学位で卒業。その後、インドでヒンディー語と心理学を学ぶ中、06年にオマー・シャリフやピーター・オトゥール出演の米国映画「プリンセス・オブ・ペルシャ エステル勇戦記(One Night With The King)」で映画デビュー。翌07年にはヒンディー語映画「Just Married」でインド映画デビューし批評家の間で評判を呼ぶ。現在、インドの他アメリカ、イギリス、南アフリカの映画界で活躍中との事。本作では化粧のノリが、遠目にはラーニーを意識してるように見える時もあったりなかったり。 本編開始すぐのカーチェイスシーンから、映画の基本をなぞるかのようなシークエンスが続くものの、いまいちカットが冗長だったり、カットのつながりのタイミングが妙だったり、登場人物たちの位置関係や心情の変化がぼやけてたりで「映画における、画面を見せるための段取りって大切なんだなあ」と悪い意味で感心してしまう。まあ、大半は主役ソハイル役のアヌージの演技の酷さに起因してる気もするけど(*4)。 2人のヒロインが無駄にボディラインのハッキリ見える衣裳でガンバってたり、無駄に胸元を開けた看護婦さんやら警部やらが右往左往してたり、犯人の追跡任務のはずが銃撃戦が始まると途端に本気で殺しに行ってたりと、ツッコんでくれ! と言わんばかりに「?」シーンが多くてもぅ。 2時間ドラマなお話でも、最低限このくらいどんでん返しやお楽しみポイント(アクション&セクシー&コメディ)が必要なんだよって所は律儀にやってて評価ポイントではあるものの、それが全体の楽しさにつながっているかと言うと…ねえ。 プロモ映像 Shaam Ki ([蛍がキラキラと瞬く時、] それは心地良い夕べ)
「Chase」を一言で斬る! ・TVレポーターも看護婦も警察も、そんなヒマでいいんだろうか…とか言っちゃダメかw
2015.7.3. |
*1 インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語。 *2 ウッタラーカンド州ガルワーリー地方から派生した、ガルワーリー語を母語とするコミュニティ。 *3 母方の祖母は、60〜70年代にネパール首相や側近を務めたトゥルシ・ギリの姉(妹?)なんだそう。 *4 そのせいか、前半はほとんどソハイルが植物人間のままで大して演技しなくていいってのは「うまい!」って感じw |